一貫して生産加工分野を研究しています.学生時代にレーザ加工研究を始め,助手時代には一旦レーザ加工から離れて砥粒加工研究に取り組みました.研究現場を渡り歩き,そこでしかできないことを意識しながら研究をしてきました.自分の中ではレーザ加工も砥粒加工も同じ加工学であり境界線はありません.今はこれらの融合領域を意識した新しい研究テーマを開発しています.
基礎研究の成果は実用化に向けた開発研究へと展開させることを意識しています.研究に携わった学生は,研究教育をとおして専門性を深め、考える人に成長してもらいたいと願っています.すべての研究テーマには,学生へのメッセージが込められています。また、研究成果には伝えたい研究プロセスがあります.これらは大学院講義や学部体験型セミナーに「思考を辿るケーススタディー型教育プログラム」として活用しています.
もう一つ欠かせない研究分野は生産原論研究です.モノづくりの本質を探る学問です.哲学,倫理,感性,技能,経済などさまざまな分野との学際領域をもち,総合的にモノづくりを考察していきます.小林 昭先生(元埼玉大学教授)が提唱された学問です.技術者や研究者は優れた専門性を発揮し,見事な技術を生み出していますが,その目的は心身ともに人類(自身も含めて)を幸福な生活に導くためであることをしばしば見失っているのではないかと思うことがあります.再び武器開発で研究費のばらまきも始まっているようですが、これもその一つと捉えることができます.かつて技術者が政治とともに犯した間違いを二度と繰り返さないためにも,モノづくりに携わる人々は歴史から学ばなければなりません.
一方,高度な技術を持っていても海外企業に買収されたり,モノづくりに携わる人々に富が広く分配されない経済システムなど社会には多くの問題があります.モノづくりに携わる人々は,専門以外にも広く目を向けて確固たる「モノづくり哲学」を持ち,積極的に社会に向けて提言することが求められています.また、技術開発では先人の知恵に学び,職人技に学ぶことも重要です.これまでに,多くの方々が自身の専門分野で生産原論研究を試行し,興味深い研究成果を上げていらっしゃいます.この生産原論研究の成果は学部1年生の講義「生産原論」と「技術者倫理」で活用しています.新入生に工学を俯瞰させ「モノづくりとそれに携わる人への憧れ」を抱かせる初動教育、「責任や使命」といった意識を感じてもらう技術者倫理教育に役立っています.
・公益社団法人 砥粒加工学会
会長(2021.4-2023.3)
監事(2023.4-2025.3)
次世代固定砥粒加工プロセス専門委員会
委員長(2012−2022)
顧問(2023.4-)
・公益社団法人 精密工学会
出版部会長・執行理事(2015-2017)
生産原論専門委員会 委員長(2021.4- )
・レーザ協会
会長(2021-2024)
理事(2024-)
・一般社団法人 日本機械学会
関東支部表彰部会幹事(2018-2019)
技術倫理委員(2019-2021)
・日本学術振興会将来加工技術136委員会
第一部会主査(2011-2022)
・オプトメカトロニクス協会 光部品生産技術部会
協力委員(2002.4- )