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視点POINT OF View

 創造は想像から

 昔、部屋を占拠していた大型コンピュータは、いまやポケットに入ってしまうほど小さくなりました。これには小さなものを造る加工技術の進化が大きく貢献しています。この加工技術に必要なセンスは目に見えない小さな世界を想像することかなあと思います。想像できないことは創造できないと大脳が思い込んでしまいます。
 昨年亡くなったイギリス人のロジャー・バニスターさんをご存じでしょうか。彼は医学生だった頃、1マイル(1610m)レースで4分の壁を初めて突破した伝説の選手です。4分?と思われるかも知れません。当時は4分の壁を人間は破れないとされ、挑戦したら死んでしまうとまで言われたそうです。しかし、彼は勉強の合間の30分間だけ毎日練習を続けていました。そのため科学的なトレーニング方法を生み出します。短距離の走り込みを繰り返し行うトレーニング法なのですが、毎回、次はもう少しだけ速く走ろうと心に決めてトレーニングを重ねたそうです。そうすればいつか4分の壁は突破できると信じていたそうです。さらに精神医学の知識を活かし、感情を込めて自分が真っ先に4分の壁を突破したときの喜びを毎日イメージトレーニングしたそうです。そうして臨んだ1954年のレースで彼は3分59秒4を出し、見事4分の壁を突破したのでした。その1ヶ月半後のレースではオーストラリア人のライバルが3分58秒を出し、1年間でなんと20名を超える選手達が4分の壁を突破したそうです。ちなみに、それまでの世界記録は4分10秒3でした。しかも2秒縮めるのに37年間もかかったそうです。走るのも造るのも人です。創造は想像することから始まると思うのですが如何でしょう。




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