生産環境科学研究室 本文へジャンプ
これまでの研究紹介

これまでに行ってきた研究のいくつかを紹介います。

溶液を用いた石英ガラスのレーザ3次元穴あけ加工
 レーザ加工は、一般的にレーザ光を吸収する物質に照射して材料が溶融し、沸騰し爆発的に除去される現象を利用した加工法です。したがって、レーザ光を全く吸収しない材料に対しては加工できません。しかし、他の物質にレーザを吸収させて、その発散時のエネルギーで加工すれば右図のような3次元加工が可能です。
(1064nmのレーザ光で石英ガラスの加工事例)

結晶化ガラスのレーザ3次元穴あけ加工
 通常はレーザを透過してレーザ加工できないが、何かきっかけを与えると加工できるモノもあります。例えば、右図の結晶化ガラスです。マジックを表面に塗布し、レーザを吸収させて微小な窪みを作ります。その際に、蒸発する物質と窪みに残留する物質が分かれます。残留する物質がレーザを吸収するモノであれば、残留部では高濃度となりレーザ吸収により加工ができるようになります。残留部を穴先端に作りながら加工を行うと3次元穴あけ加工ができるようになります。

光放射圧を利用した微粒子の3次元組立技術
 光は屈折や反射によって方向が変わると、その界面で運動量保存則になって力が発生することが知られています。この力を利用すれば、10μm程度のガラスならば右図のように大気中で3次元組立が可能です。写真は220個目の最後のガラス玉を空中に持ち上げて三角錐を組み立てる作業を示しています。

電気泳動現象を用いた鏡面研削砥石製作法
 超微粒子は表面活性であり、これを利用してメカノケミカル研磨が実施されています。砥石としては微粒を整然と集めて砥石にすることは不可能でした。しかし、電気泳動現象を利用して超微粒子を単純立方格子の構造で集めれば、均質で適度な結合力を持たせた砥石ができます。これで研削を行うと乾式でもメカノケミカル反応が生じてシリコンを3nmRzの鏡面に仕上げることが可能になります。SiC、サファイア、ガラス、ステンレスなど様々な砥石が開発されています。

天然砥石から学ぶ鏡面研削砥石の開発
 京都天然砥石である「合砥」は仕上げ砥として世界的に有名です。しかし、加工学からの科学的な調査は皆無でした。そこで鏡面研削砥石のヒントを得るために、研究を行い、構造と仕上げメカニズムの関係を解明しました。その結果、積層砥石を開発しシリコンなどの鏡面創成が可能な砥石の開発に成功しました。まだまだ科学はちっぽけな世界です。自然界から学ぶべき知見は無限にあるように感じています。

   ©SPE Saitama University.