研究分野: 精密・微細加工分野
半導体結晶材料、ガラス、サファイアなど先端材料には、硬くて脆い材料(=硬脆材料)が多くあります。生産加工技術(工業界で求められる加工技術)では、能率良く、精密に、変質なく、微細な領域でも高品位に加工することが求められます。硬くて刃が立たない材料をどうしたら加工できるか、日々、材料と対峙して新しい原理に基づく革新的加工技術の開発を目指しています。主に穴あけ、切断、研削、研磨、接合、変形、改質などの加工研究を行っています。
IoTやAIなどは、道具として有益です。我々もどんどん取り入れて行きます。これらは既存の加工技術を整理して秩序立てて組み合わせることで、どこまで目標に効率よく接近できるかという生産システムに有益です。現在分かっている知見を最大限効果的に利用することができ、重宝なモノだと思います。
一方で、大学はまだ世界に知られていない原理やコンセプトを生み出す使命があります。物理化学現象に基づく新たな加工原理・コンセプトの開発研究に主眼をおいた基礎研究には実験研究が欠かせません。そのため実験室には最新の加工装置、評価装置を整備するように心がけています。また、加工が実現したら本当に自分たちの狙いどおりの原理・コンセプトで実現できたのか、徹底的に検証することも大事にしています。
以上のような研究スタイルは、いつまでに原理を発見・発明できるのか保障することはできません。だからこそ、大学が担うべき研究だと思うのです。案外、先が見えないと思われる研究も、洞察力を働かせて実験結果と真摯に対峙すれば案外容易に先が拓けると思っています。是非、学生にもその体験をさせたいと思っています。
江崎玲於奈博士によると、解析や理論は「分別研究」とされ、工学研究の多くがこれに属します。世の中には、実験による発見を基にした「創造研究」というものがあり、唯一無二の新技術、新知見を生み出しているそうです。
2024年度 研究テーマ
レーザ加工 |
1)レーザエッチング |
2)ダイヤモンドのレーザスライシング |
3)各種半導体結晶材料のレーザスライシング |
4)フッ化カルシウムのレーザスライシング |
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砥粒加工 |
1)SiCの砥粒レス高速鏡面研磨 |
2)GaNの摩擦特性 |
3)半導体結晶材料のメカノケミカルポリシング |
4) セラミックスの研磨 |
5)古代青銅鏡の研磨関する研究 |
6)研磨炭の研究 |
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その他 |
1)残留応力と加工の関係 |
2)エッチングによる半導体結晶材料の高速研磨加工 |
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